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20: 神職の労働者性・パワハラ
H29.3.25
神社の神職(権禰宜)が、神社の宮司からパワハラを受け、違法に解雇されたとして、地位確認(解雇無効)を求めるとともに、賃金、残業代、
慰謝料等の支払を請求した裁判例があります(福岡地裁平成27年11月11日判決)。
まずパワハラについて、宮司は神職を2度にわたって坊主頭にさせたほか、神職を指導するに当たり、多数回の暴行を加え、机をたたき、胸ぐらをつかんだりしながら、 「ぶん殴りたい」「お前根性焼きしようか」「給料泥棒」「腐ったミカン」などの暴言を浴びせたことを認定し、かかる行為は、 指導方法として許容範囲を著しく逸脱しているとして宮司及び神社に対し連帯して金100万円の慰謝料の支払いを命じています。 次いで解雇無効、賃金・残業代の支払義務の前提として、神職の労働者性(労働契約法及び労働基準法の適用の有無)が争点となっているわけですが、 この点に関しては昭和27年2月5日付の労働省労働基準局長の通達があります。そこでは「宗教上の儀式、布教等に従事する者、教師、僧職者等で修業中の者、 信者であって何等の給与を受けず奉仕する者等は労働基準法上の労働者ではない」とされています。本件神職の場合、毎月、基本給及び奉務手当等の俸給の支給を受けていると認定され、 労働者性が認められました。その結果、地位確認が認容されるとともに、これまでの残業代やバックペイの支払が命じられています。 それにしても、神の世界もほかならぬ人間によって運営されている限り、神の法でなく世俗法による規律が必要とされるもののようです。 |
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