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25: 詐欺商法・銀行口座名義人の責任
H29.5.30
詐欺商法の多くは銀行口座を利用します。ロト6詐欺もその一例であり、詐欺行為者(「甲」といいます)は、
ロト6の当選番号情報を教えるなどと称して被害者(「乙」といいます)を欺罔し、その結果として乙に口座名義人(「丙」といいます)の口座に騙取金を振り込ませるのです。
甲は、足がつかないように必ずといっていいほど第三者である丙名義の口座を利用します。この場合、詐欺という不法行為に基づき乙が甲に損害賠償を請求できるのは当然ですが、
甲は所在不明・氏名不詳か無資力である場合が多く、甲を当てにしては被害者救済を図れないという実情があります。そこで、詐欺商法の手段である口座の提供者丙の責任を追及することが考えられます。
この要請に応えたのが、ロト6詐欺に関する東京地裁の判決です(平成28年3月23日)。丙は、甲による内職のはがきをみて応募しました。この内職は、丙宛てに送られる郵便物を開封せず、
甲が指定する宛先への転送を行い、この転送に対して対価(五千円)が支払われるという内容でした。裁判所は、「丙に口座開設の幇助(手助け)をしている認識がなくとも、
自らの行為が違法行為に使われる可能性が高いことを容易に知り得た」と認定して、丙に損害賠償責任を認めました。自分名義の口座を安易に第三者に利用させることは勿論のこと、
不自然に割の良い話に乗ることは、極めて危険ということがいえます。
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