トピックス#
30: 建物賃貸借・原状回復義務・通常損耗補修特約
H29.8.30
建物賃借人(賃貸マンション等をふくむ)は、畳や壁紙等が経年によって変色・劣化した場合の修理費用まで責任を負うのでしょうか。判例は、
賃借物件の通常使用による劣化又は価値の減少を意味する通常損耗については、原則として賃貸人の負担に属し、賃借人がその原状回復義務を負うためには、
賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、あるいは、賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、
それを合意の内容としたなどの「通常損耗補修特約」が明確に認められることが必要である、としています。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月)は、上記判例に準拠して、通常損耗補修特約の有効要件として、 @特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること、A賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること、 B賃借人が特約によって義務負担の意思表示をしていることを挙げています。 よって、有効な通常損耗補修特約の存在が認められれば賃借人の負担となり、認められなければ、原則に立ち返って賃貸人の負担となります。国土交通省は、 平成24年2月に賃貸借当事者間の紛争を未然に防止するために「賃貸住宅標準契約書」の改訂を行っています。第14条(別表5)に明渡し時の原状回復内容が明確化されていますのでご一読ください。 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000019.html |
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