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トピックス# 36: 労働・使用者の従業員に対する損害賠償請求権
H29.12.4
 従業員が仕事上のミスで会社に損害を与えた(例えば居眠りで高額の機械を破損した)として、会社から損害賠償を請求されたり、 あるいは仕事に関連して第三者に与えた損害について、会社が第三者に支払った損害賠償金(例えば、交通事故の損害賠償金)を会社から求償されるという事案が増加しています。
 それは資力に乏しい労働者にとって過酷な結果をもたらすことから、判例は、使用者の指揮命令下の労働であるという特質、及び労働者の労働によって会社が経済的利益を得ているという事情などを考慮して、 信義則に基づく責任制限法理を発展させています。代表的な判例は、責任制限の基準として、@労働者の帰責性(故意・過失の有無・程度)、A労働者の地位・職務内容・労働条件、 B損害発生に対する使用者の寄与度(指示内容の適否、保険加入による事故予防・リスク分散の有無等)を上げ、大型貨物自動車のタンクローリーを運転していた従業員が、 同じ会社所有のタンクローリー車に追突して生じさせた損害につき、会社が従業員に賠償及び求償を請求しうる範囲を、信義則により損害額の4分の1に限定する判決を下しています(最判昭和51年7月8日)。
 たとえ従業員に重大な過失が認められるケースでも、従業員にとって宥恕すべき事情や会社側の非を考慮して、従業員の責任を4分の1ないし2分の1に軽減している裁判例もあります (名古屋地判昭和62年7月27日、東京地判平成15年10月29日、東京地判平成15年12月12日)。
 なお、仮に会社が従業員に対し損害賠償債権を有するとしても、それと従業員に対し支払うべき賃金とを相殺することは許されませんし(労働基準法24条1項)、 損害賠償債権を口実に従業員の退職の自由を制限することも許されません。

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