トピックス#
37: 名誉棄損・不法行為
H29.12.4
名誉棄損が問題となるのは、損害賠償請求・謝罪広告の局面と、名誉棄損罪による処罰の局面です。
前者は、名誉を棄損されたと主張する側と名誉棄損を行ったとされる側との間の損害賠償請求等の民事訴訟の問題です。後者は、名誉棄損の行為主体を国家が名誉棄損罪の刑事被告人として立件し、
処罰するか否か、という刑事訴訟の問題です。
民事事件の実体法である民法は、第710条及び第723条で名誉棄損に触れるだけで、その成立について特に触れてはいません。他方、刑事事件の実体法である刑法は、第230条において、 「公然と事実を摘示し、人の名誉を棄損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」として、名誉棄損罪の成立要件を明示しています。 このため、民事上の名誉棄損は、一般の不法行為の成立要件に準拠し、@故意過失、A権利侵害ないし違法性、B責任能力、C損害発生の因果関係の各要件を満たすことによって、 成立することとなります。刑法のような厳格な枠付けはないため、民事上の名誉棄損は、人の社会的評価を違法に低下させることによって成立し、侵害の手段に限定はないとされています。 その結果、事実の指摘にとどまらず、論評や意見の発表によっても民事上の名誉棄損は成立します。他方、判例は、刑法第230条の2に規定された「公共の利害に関する場合の特例」 を民事訴訟においても踏襲しています。 |
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