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38: 破産・免責
H30.1.10
免責制度は、破産手続によって配当を受けることができなかった残余の債権について、破産者の責任を免除することによって、破産者の経済的更生を図ろうとする制度です。
判例は、免責制度の必要性について、「誠実なる破産者に対する特典として、・・破産終結後において破産債権をもって無限に責任の追求を認めるときは、破産者の経済的再起は甚だしく困難となり、
ひいては生活の破綻を招くおそれさえないとはいえないので、誠実な破産者を更生させるために、その障害となる債権者の追求を遮断する必要が存するから」としています。
サラ金などの消費者金融や信販会社のクレジットカードの普及に伴い、免責を得ることを目的とした自己破産申立事件が増加し、免責許可の申立件数も増加するようになりました。
このような時代的背景があったことから、破産法では、個人の債務者が自ら申し立てる自己破産申立事件については、反対の意思表示がない限り、
破産手続開始の申立てと同時に免責許可の申立てをしたものとみなしています(破産法248条4項)。
ただし、租税債権・悪意による不法行為債権・扶養義務にもとづく債権・雇用関係にもとづく債権等、免責の効力が及ばない非免責債権がありますので、注意が必要です(破産法253条1項)。 とくに「破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権」(同項6号)に関しては、債権者名簿に記載しなかったことが、破産者の悪意の場合(破産者が知っている場合)だけでなく、 過失による記載漏れ(破産者が失念している場合)も含まれるというのが判例ですので、自己破産の申立てに際しては、債権者の記載漏れがないよう念入りに準備する必要があります。 |
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