トピックス#
41: 建物売買・雨漏り・瑕疵担保責任・説明義務違反
H30.3.12
新築建物の売買取引において、雨漏りを引き起こす建物の欠陥が瑕疵になることは言うまでもありません。住宅品質確保法は、新築住宅の売り主に対し、
雨水侵入防止部分につき、10年間の瑕疵担保責任を負わせています。中古住宅の場合には、雨漏りなどがあっても、必ずしも瑕疵になるとは限りません。瑕疵の判断は、
中古建物としての通常有すべき品質・性能が基準となり、また、経年劣化した状態における不可抗力的なものとされる余地があるからです(東京地判平成17年9月28日、東京地判平成19年5月29日)。
もっとも、売買契約における売主の付随的義務としては、担保責任以外にも、説明義務があり、それを根拠にして売主の責任を認めた判例もあります。売主が、雨漏りがあったことを認識しながら、
物件状況報告書の「現在まで雨漏りを発見していない。」との記載に丸印を付して買主に交付した事案(東京地判平成20年6月4日)等です。また、宅建業者が、一般購入者に対し、
中古マンションを売却する場合には、売主たる宅建業者は、対象物件に雨漏り等隠れた瑕疵がないか否かを確認・調査すべき義務を負っているとされています(東京地判平成13年1月29日)。
宅建業者には、不動産取引の専門家として、宅建業法によって、直接の依頼者であるか否かを問わず、取引関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行うこと(同法31条1項)、
及び重要事項説明(同法35条)が義務付けられていることから当然の判旨といえます。消費者契約法によっても、事業者の責任は加重されています(同法3条1項)。他方、一般人(非専門家)であっても、
信義則上、認識しながら説明を怠ったり、購入希望者を誤信させるような事実に反する説明をすることは許されないとされています(大阪高判平成16年12月2日)。
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