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トピックス# 50: 労働・年休取得と不利益取扱い
H30.7.13
 年休取得を理由に、精皆勤手当、一時金、昇給等において不利益に取り扱うことができるか否かに関して、昭和62年の労基法改正で同法附則134条(現136条)が定められました。 同条は、「使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。」と規定していますが、 その独特の文言が影響してか、法的解釈は分れています。
 タクシー会社の乗務員が月ごとの勤務予定表作成後に年次有給休暇を取得した場合に皆勤手当を支給しない旨の約定が公序に反する無効なものといえるかが争点となった事案において、 最高裁平成5年6月25日判決は「労働基準法134条・・は、それ自体としては、使用者の努力義務を定めたものであって、 労働者の年次有給休暇の取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を有するものとは解されない。 また、(年休取得を何らかの経済的不利益と結び付ける)措置は、年次有給休暇を保障した労働基準法39条の精神に沿わない面を有することは否定できないものではあるが、 その効力については、その趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、年次有給休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、 年次有給休暇を取得する権利の行使を抑制し、ひいては同法が労働者に右権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるものでない限り、公序に反して無効となるとすることはできない」と判示し、 附則134条は訓示規定に過ぎず、私法上の効力については不利益取扱いの程度によって公序違反の枠組みで判断されるとする立場を宣明しました。
 しかし、上記判例は、年休権保障の本旨と昭和62年の労基法改正の意義を理解しない見解として、学説上厳しい批判にさらされています。

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