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トピックス# 53: 人身傷害補償保険・外来の事故・疾病
H30.11.19
 傷害補償保険は、被保険者が、自動車の運行事故に該当する急激かつ偶然な外来の事故により被る傷害について、 特約で規定する基準により保険金が支払われる実損填補型の傷害保険といわれています。ここでいう外来の事故とは、「身体の外部からの作用による事故」を意味することから、 脳・心臓疾患等のある被保険者が、運転中に疾病による発作を起こし、事故に至った場合の扱いが問題となります。最高裁平成19年10月19日判決は、 狭心症の持病を持つ男性が普通乗用車を運転していたところ、ブレーキを踏むなどの措置をとらないで前方のため池に転落し、溺死した事故で、 男性が被保険者となっていた人身傷害補償特約に基づき遺族らが保険金の支払いを求めて提訴した事案において、以下のとおり判示して、遺族らの請求を棄却した原判決を破棄差戻しとしました。 「本件特約にいう外来の事故とは、その文言上、被保険者の身体の外部からの作用による事故をいうと解されるので・・被保険者の疾病によって生じた運行事故もこれに該当するというべきである。 本件特約は、傷害保険普通約款には存在する疾病免責条項を置いておらず、また、本件特約によれば、運行事故が被保険者の過失によって生じた場合であっても、 その過失が故意に準ずる極めて重大な過失でない限り、保険金が支払われることとされていることからすれば、運行事故が被保険者の疾病によって生じた場合であっても保険金を支払うこととしているものと解される。 このような本件特約の文言や構造に照らせば、保険金請求者は、運行事故と被保険者がその身体に被った傷害・・との間に相当因果関係があることを主張、立証すれば足りるというべきである。」
 上記判決は、事故の発生原因が運転手の疾病により運転操作を誤ったことが疑われる事案類型についてであることから、風呂での溺死事案等には、判決の射程は及ばないとされています。

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