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56: 改正相続法・遺留分
H31.2.3
最高裁判所大法廷は、平成25年9月4日、婚外子相続分差別違憲決定を下しました。これを受けた民法改正(差別規定の削除)を契機として、相続法制の見直しが行われ、
平成30年に配偶者保護を中心とする相続法の改正がなされました。改正相続法の施行日は、原則として平成31年7月1日ですが、自筆証書遺言の方式緩和
(自筆証書遺言本文と一体のものとして添付される財産目録について、自書することは要しないとの規定)については、すでに平成31年1月13日に施行されています。
また、配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設については、平成32年4月1日に施行されます。
相続法の改正により、遺留分に関して、「遺留分減殺請求権」という用語は「遺留分侵害額請求権」に変更されました。用語の変更にとどまらず、遺留分侵害額請求権においては、 従前遺留分減殺請求権で認められていた物権的な効力は否定され、権利(形成権)の行使により金銭債権が発生することとされました。 権利の行使方法は、金銭債権を発生させる遺留分侵害額請求権行使の意思表示が第1段階であり、具体的な金銭支払請求権を行使し、遺留分侵害額を回復する金銭支払請求権の行使が第2段階となります。 以上の2段階の権利行使に即して、遺留分に関する権利行使についても、2つの局面で観念されることとなります。遺留分侵害額請求権は、 遺留分権利者が相続の開始および遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅し、 相続の開始の時から10年を経過したときも同じです。他方、金銭支払請求権の行使に関しては、債権の消滅時効が適用されるため、 債権法の改正に伴い消滅時効の起算点の時期が問題となります。主観的起算点は権利を行使することができることを知った時であり、 期間は5年です。他方、客観的起算点は、権利を行使することできる時であり、期間は10年です。 |
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