トピックス#
58: 改正相続法・相続と登記
H31.4.6
今回の相続法の改正で、法定相続分(民法900条及び901条により定められた相続分)を超える部分については、登記、
登録その他の対抗要件を備えなければ第三者に対抗することができないと規定されました(民法899条の2第1項)。
ある相続人が、自分の法定相続分を超えて譲渡処分した場合、法定相続分を超える部分については、無権利での処分がなされたこととなるので、他の共同相続人は登記なくして自己の相続持分を主張できます (最判昭和38年2月22日)。この点は異論がなかったのですが、裁判所は、指定相続分についても同様な考え方を適用し、指定相続分も登記なくして第三者に対抗できるとしていました(最判平成5年7月19日)。 しかし、指定相続分は条文で定められている法定相続分と違って、第三者に予期できないものであるため、法定相続分と同じ扱いをすることに対しては強い批判がありました。 そこで、今回の改正法は、指定相続分は登記を備えないと対抗できないこととしたのです。 「相続させる」という文言を用いた遺言について、最高裁は、「相続させる」旨の遺言による権利の移転は、「法定相続分又は指定相続分の相続の場合と本質において異なるところはない。 そして、法定相続分又は指定相続分の相続による不動産の権利の取得については、登記なくしてその権利を第三者に対抗することができる。」と判示していました(最判平成14年6月10日)。 今回の相続法改正は、この点を明文をもって規律し直すとともに、「相続させる」旨の遺言につき、「特定財産承継遺言」と呼び、 遺言執行者が対抗要件に必要な行為をすることができるとする明文規定を設けています(民法1014条2項)。 |
|||||
| |||||
|