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59: 交通事故・相殺禁止・債権法改正
H31.5.12
債権が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができないとされています(民法509条)。
交通事故は、通常過失による不法行為ですから、例えば、交差点内で衝突事故が生じた場合、過失割合により相殺処理するのが簡便と考えられるのですが、それができないこととなっています
(最高裁昭和32年4月30日判決)。ところが、今次の債権法の改正により民法509条は以下のとおり改められます。「次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。・・1、
悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務 2、人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務」 これによって、改正民法509条が施行される令和2年4月1日以降は、
物損事故は一方的意思表示による相殺が許されることとなります。責任保険制度が普及している現状に鑑み、自動車同士の衝突事項など当事者双方の債権が同一事実から生じたケースでは、
人身事故もふくめて改正民法509条の適用を認めるべきとの主張もなされています。
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