トピックス#
80: 改正民法・管理不全土地、建物管理制度
R05.6.2
土地の管理が不十分なため、草木が繁茂するなどして周辺住民に被害を及ぼしている事例や、継続的に廃棄物の不法投棄が行われ、周辺住民に被害を及ぼしている事例が散見されます。
近隣の土地所有者は、このような管理不全土地の所有者に対し、所有権に基づく妨害排除請求等を行使することができますが、そうした対応には限界があります。
そこで、改正民法において、所有者による土地や建物の管理が不適当であることによって他人の権利等が侵害され、又は侵害される恐れがある場合に適切な管理を可能とする制度として、
管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令が新設されました。管理不全土地管理命令(改正民法264条の9〜264条の13、改正非訟事件手続法91条1項〜9項)の規定に基づいて、
裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全土地管理人による管理を命ずることができるようになります。これは、管理不全建物についても同様です(改正民法264条の14、
改正非訟事件手続法91条1項・10項)。
管理不全土地管理人は、管理不全土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができます。ここで「管理不全土地等」とは、 「管理不全土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び当該命令の効力が及ぶ動産」及び「その管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産」をいいます。 さらに、管理不全土地管理人による管理不全土地等の管理に必要な費用及び報酬は、管理不全土地等の所有者の負担とすることも定められました。したがって、費用及び報酬の引き当てが「管理不全土地等」だけでなく、 「管理不全土地等の所有者」もその負担者となります。管理不全建物管理人に係る費用及び報酬についても同様です。 |
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