トピックス#
82: 労働法・労働時間の把握義務・タイムカード
R06.7.6
労働基準法は、労働時間の把握・管理の方法について具体的な規定を置いていませんが、いわゆるサービス残業や長時間労働が社会的問題となったことに伴い、
平成13年に厚生労働省労働基準局通達が発出されました(平成13・4・6基発339号)。同通達は、「労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、
使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らか」と述べたうえ、使用者が講ずべき措置として、@労働者の労働日ごとの始業・就業時刻を確認し記録すること、
Aその確認・記録の方法としては、原則として、使用者自らによる現認、または、タイムカード、ICカード等による客観的な確認・記録のいずれかによること、
B自己申告制によらざるを得ない場合の必要条件を定めました。この通達を背景に、使用者がタイムカードで労働時間を管理していた場合には、これと異なる認定をすべき特段の事情が認められない限り、
タイムカードに打刻された時間に従って労働時間を認定すべきとするのが判例の大勢です。
平成30年の働き方改革関連法は、使用者の労働時間適正把握の義務を、サービス残業対策に加えて、労働者の健康確保を目的とするものとしても位置付け、 労働安全衛生法にその根拠規定を置くこととしました(労安衛法66条の8の3)。この改正により、割増賃金の支払い対象外の管理監督者等についても、労働時間適正把握義務の対象に含まれることとなりました。 時間外・休日・深夜労働に対しては例え1分であっても労基法37条に基づき割増賃金を支払う義務が発生すると解されるため、 この端数を切り捨てて処理することは労基法37条違反及び同法24条違反となります(名古屋地判平成31年2月14日)。 |
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