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トピックス# 84: 労災保険・特別加入制度A
R06.7.13
特別加入制度とは、労働者以外の者で労働者に準じて保護することがふさわしいとみなされる者に労災保険に特別加入することを認める制度です。特別加入の対象者は、 徐々に拡大する傾向にあります。令和3年4月1日からは、芸能関係作業従事者、アニメーション制作作業従事者、柔道整復師、創業支援等措置に基づき事業を行う者も特別加入の対象になり、 同年9月1日からは、自転車を使用して貨物運送事業を行う者、ITフリーランスも特別加入の対象に加えられました。
 現在、特別加入制度が設けられているのは、特別加入保険料の区分で整理すると以下のとおりです。
  1. 中小企業事業主等(金融・保険・不動産・小売業は常用労働者50人以下、サービス業・卸売業は100人以下、他は300人以下)
  2. 一人親方その他の自営業者(個人タクシー等もしくは貨物運送の事業、原付自転車・自転車によるフードデリバリー等、大工、左官等の建設事業、 漁船による水産物採捕業、林業、医薬品配置販売業、廃棄物等収集・解体業、船員が行う事業、柔道整復師が行う事業、高年齢者雇用安定法の創業支援等措置に基づき高年齢者が行う事業、 あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師が行う事業、歯科技工士が行う事業)及び特定作業従事者(特定農作業従事者、職場適応訓練等受講者、家内労働者、労働組合の常勤役員、 介護作業従事者、芸能従事者、アニメーション制作作業者、ITフリーランス)
  3. 海外派遣者(国際協力事業団等の団体の開発途上地域派遣者、国内事業の海外支店・工場・現地法人等の事業従事者)
これらのうち一部の者(自動車運送業者、特定農作業従事者、家内労働者等)については、住居と就業場所との間の往復の実態が明確でないことから、通勤災害に関する保険給付の適用はありません。
 また、特別加入者の労災給付対象となる業務については議論があり、判例の多くは特別加入申請書に記載された業務を基準に判断するとしています。最高裁も、特別加入制度は労働者に関して成立している労災保険関係を前提に事業主を労働者とみなして労災保険を適用するものであるので、労働者を使用している事業(土木工事)と無関係の業務(リース業)に従事中の事故は保険給付の対象とならないと厳格に解釈しています(最判平成9年1月23日)。以上のとおり特別加入申請書の業務記載は保険対象業務の認定において重要な意義を持つので注意が必要です。

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